生成AIと創作の未来:音楽領域の実践を通して

生成AIをはじめとするAIを用いたツールが、創作の現場においても急速に普及している。しかし、その多くは既存のスタイルの模倣や、制作プロセスの効率化・省力化に重点が置かれており、本質的に新しい表現を生み出す手助けをするようには設計されていない。本講演では、「AIを用いて既存の枠組みにとらわれない表現を生み出すことは可能か?」「そのためにAIツールはどうあるべきか?」という問いを出発点に、音楽領域での自身の10年にわたる実践を通じて、現在の生成AIが抱える本質的な課題と、創造のパートナーとしてのAIの理想的なあり方を考察する。

講演者:徳井直生

アーティスト/(株)Qosmo, (株)Neutone代表取締役。AIを用いた人間の創造性の拡張を研究と作品制作の両面から模索。アーティスト、デザイナー、AI研究者/エンジニアなどから構成されるコレクティブ、Qosmoを率いて作品制作や技術開発に取り組むほか、23年7月設立のNeutoneでは、AIを用いた新しい「楽器」の開発を手がける。主な著書に『創るためのAI — 機械と創造性のはてしない物語』(大川出版賞受賞)。東京大学 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程修了。博士(工学)。